がんとともに

30歳で胃がんになった消化器内科医が胃腸クリニックを開業してからの想い

訪問診療は大変?

こんにちは。

 

ようやく梅雨が明けて夏本番となりました。

 

訪問診療の実際についてです。

 

夜中に呼ばれる?

 

訪問診療を始めようと思っている時や始めた初期は、「24時間365日休むことが出来ず、遠出も出来なくなるけど、大丈夫?」と周囲の人に言われ続けてきました。

 

世間一般の人が想像する訪問診療も、夜中に往診鞄を持って駆けつけてくれるイメージでしょうか。

 

クリニックで働く医師は自分一人だけですし、患者さんに何かあれば最終的に対応する責任を持っているのも自分一人しかいません。

 

その点において指摘されていることは正しいのですが、指摘してくれる人の多くは、訪問診療を実践していない人であることが多かったです。

 

実際に訪問診療をすでに実践している人からは、「急に呼ばれることがないわけではないが、予想できることも多く、また連絡があっても電話で対応したり、駆けつけなくても対応できることもあるから、大丈夫だよ。」と励まされることが多かったです。

 

 

 

そしてクリニックで実際に夜間診療時間外に患者さんの家に駆けつけたのは、早朝に患者さんが亡くなり死亡確認をして看取った時の1回だけです。

 

このときも完全に予想外というわけではなく、数日前から診察しながら、そろそろ亡くなる時期が近づいており、呼ばれることがあるかもしれないと気持ちの準備は出来ていました。

 

それ以外に電話連絡が入ることは何回かありましたが、連携している訪問看護ステーションのスタッフにより速やかに対応して、通常診療までつないでもらうことがありました。

 

患者さんには自分の携帯電話番号を教えていることもありますが、多くはまず訪問看護ステーションに連絡をして、対応して頂き、必要な場合に自分にまで連絡が来ることになっています。

 

今後も自分たちだけではなく、訪問看護やヘルパーと連携していければ、みんなで24時間365日体制のサポートを作り上げることが出来るのでは、と思っています。

 

 

 

実際に患者さんが訪問診療を希望して開始するかどうかは、本人の気持ちや状態もありますが、一番重要なのは家族の気持ちや覚悟にあると思います。

 

核家族化や老老介護やおひとりさまの問題があり、また家族内の微妙な関係性があったり、なかなか上手くいかないこともあります。

 

次回は家族の思いに触れていきます。