がんとともに

30歳で胃がんになった消化器内科医が胃腸クリニックを開業してからの想い

胃がんとピロリ菌

こんにちは。

 

久しぶりの投稿になります。

 

ピロリ菌

今日もクリニックで胃カメラや大腸カメラをしました。

 

自分も胃がんの手術の時に判明しましたが、胃カメラをするとピロリ菌に感染しているかどうか、分かります。

 

だいぶ世間に浸透しており、「ピロリ菌」と説明すると、名前は聞いたことがあるという人がほとんどとなっています。

しかし、実際にどのような菌で、どうやって検査して、どのような治療が必要かどうかは知らない人も多いです。

 

胃がんと非常に強い関連がありますので、少しずつ解説していこうと思います。

ネットにもたくさん情報がありますので、参考にして欲しいです。

 

 

www.pylori-story.jp

 

 

まず胃の中にカメラが入っていくと、胃の表面が見えてきます。

胃のひだや粘膜の状態、胃液・粘液の付着の程度、RACと呼ばれる集合細静脈の状態、黄色腫の有無、発赤・びらんの有無等々、チェックすべきポイントは多数ありますが、ピロリ菌に感染したことがあるかどうかは、一度カメラで見てみると分かります。

 

 

感染している?

一般的には小児期までにピロリ菌が感染するかどうかが決まります。

まだ免疫力が完成していない小児期に、井戸水や両親から感染します。

逆にこの時期に感染していない人は、大人になって感染することは稀です。

20年前、40年前と比べると、現在の上下水道や衛生状況は非常に良くなっており、感染率は減少傾向にあります。

しかし現在50歳以上の方は、高齢の方ほど感染している可能性高いです。

 

 

どうやって検査する?

実際にピロリ菌の除菌治療を行うには、ピロリ菌が感染していることを確認することと胃カメラで潰瘍や癌が出来ていないことを確認する必要があります。

 

ピロリ菌の感染は、

尿素呼気試験:息を吐いて検査する。

血液検査:ピロリ菌に対する抗体を調べる。

便検査:ピロリ菌の抗原を調べる。

病理検査:胃カメラで組織を採取して顕微鏡で確認する。

ウレアーゼ試験:胃カメラで採取した組織が反応するか調べる。

いずれかの検査を実施して確認します。

 

それぞれの検査でメリット・デメリットがありますので、患者さんの状態に合わせて選択します。

尿素呼気試験:確実性が高いが、絶食の必要あり、胃薬内服中は評価出来ない。

血液検査:絶食不要で胃薬内服中も可能だが、針を刺す必要あり、偽陰性もあり。

便検査:痛みなく採取可能だが、受診当日は困難なことが多い。

病理検査:胃カメラと同時に出来るが、採取する部位により評価出来ず、血液サラサラの薬を内服している人は採取できない。

ウレアーゼ試験:検査当日に判明するが、胃カメラをする必要あり、採取する部位により評価出来ないことがある。

 

担当医とよく相談して、検査をすすめて欲しいと思います。

 

 

ピロリ菌と病気との関連性や除菌治療について、また除菌治療後も気をつけることがあります。

とても1回で書き切れませんので、次回以降に続きます。