がんとともに

30歳で胃がんになった消化器内科医が胃腸クリニックを開業してからの想い

胃がん告知の翌日

こんにちは。

 

 昨日に引き続き、手術当時のことを振り返ります。

 

自分の病気

30歳の誕生日に胃カメラをして、その翌日に「胃がん」と告知されました。

 

告知されてからやるべきこととしては、自分の病気のことと仕事のことがありました。

まずは現在の自分の状態を調べて、治療方針を決めないといけません。

同時に勤務している診療所は医師一人のみの離島の診療所であり、自分がいなくなることは島に医師が誰もいなくなることとなります。当時は人口800人程度いたため、無医村にするわけにもいきません。

入院・手術を前提として、今後の予定を早急に決める必要がありました。

 

告知翌日の診療は午前中のみにして、昼のフェリーに乗って、急遽検査をした病院に行き、研修先の上司と外科医と話をすることとしました。

 

 再度内視鏡の写真を見て、病理検査室で顕微鏡を実際にのぞいて、「がん」であることを確認しました。

この時点で少し冷静になりながら、外科医と今後の検査予定および手術日程の相談をして、同時に最大何日間入院が可能か=離島を留守に出来るか、確認されました。

通常胃がんの手術であれば、2週間程度で退院可能ですが、即仕事復帰できるかどうかは分かりません。3週間程度休めれば助かるなぁと思っていました。

これからの検査日と手術日が決まり、あとは周りの環境調整をすることになります。

 

 この日は実家が近いこともあり、実家で夕食を食べることにしました。

とくに事前に知らせずに、「夕食を食べに行くね」とだけ電話して行きました。

両親と祖母と自分の妻と5人で食事して、食後に「実は胃カメラ検査をしたんよね」と話し出しました。

TVもついたまま、自然の会話の中で話をして、サラリと受け流してくれたら自分自身も助かるなぁと思っていました。

「どうだった?」

胃がんになってて、手術することになった」

「え・・・」

 

と一瞬会話が止まり、母は急に吐き気を催して台所で空嘔吐してしまいました。

 

自分が「胃がん」と告知されたこと、妻に説明することも大変でしたが、自分の親に向かって自分ががんになっていると説明することは、一番きつかったです。

 

親がショックを受けているということに、自分もショックを受けてしまうけど、医師である自分が一番病気の状態を理解しているので、冷静に説明しないといけないのです。

でもそうして説明することで、自分を保ちながら冷静になれた部分もありました。

 

 

あとは仕事の調整が必要でした。

また続きます。