がんとともに

30歳で胃がんになった消化器内科医が胃腸クリニックを開業してからの想い

がんとともに

こんにちは。

昨日は節分でした。

豆まきの鬼のため、自宅で豆を投げられ、仮面ライダーにハマっている息子と戦い「鬼はそと」されてきました。

 

さて、引き続き自分の病気について書こうかと思いましたが、まずは自分の想いも書いておこうと思います。

 

私が30歳で胃がんと判明し、手術してもう9年が経過しています。

その間、癌の治療経過としては問題ありませんが、日常生活では困ることも多々ありました。

 

今振り返ると最初の5年間は、やはり再発の心配が一番大きかったです。

同時に食事摂取に制限あり、体重が15kg以上減少して、体力的にもきつかったです。

食べたい気持ちはありますが、一気に食べるとダンピング症候群に・・・。

 

ダンピング症候群になると、低血糖症状として、からだが無性にダルくなり、冷や汗が出て、全身の力が抜けてきます。

自宅や職場には常に糖分の多いチョコやウィダーインゼリーが常備してあり、糖分補給して1時間程度休んでいると、ようやく回復する状態でした。

仕事柄、当直したり患者の状態が悪く帰りが遅くなることが続くと、なりやすい傾向もありました。

年々、ならないように食事に気をつけて食べることが出来るようになりましたが、最近も油断すると1-2ヶ月に1回なってしまいます。

 

また病気が落ち着いて、子どもも生まれて、人生設計を考え直していると、保険の問題も出てきました。

実際、自宅の建築時や今回のクリニック開業にあたり、銀行から融資を受ける際に胃がんの病歴があることがネックになり、時期尚早で延期となったこともありました。

 

がん治療後には、病気自体に限らず、このような食事・生活面でも様々な影響が出てきます。

今まで内科医・消化器内科医として、多くのがん患者さんとその家族と接する機会がありましたが、より多くの情報を伝えていければと思っています。

 

がんの予防はもちろん、早期発見・早期治療が出来れば幸いです。

しかし現実的にはそのようにうまくいくとは限りません。

それでも、がんになっても、がんとともに、うまく付き合っていくことが重要ではないか、と考えるようになりました。

「がんとともに」言うことは簡単ですが、気持ちは複雑です。

少しでもその支えになれればと思っています。